食道がん

食道がんとは?

食道がんは、のどと胃をつなぐ食道の粘膜にできるがんです。日本人の多くは食道の中央部から胃の入り口にかけて発症しています。
初期症状がほとんどないこともあり、早期発見が比較的少ないタイプのがんです。発症すると食べ物が飲み込みにくくなり、その結果、体重が減少し始め、そして胸の痛みや呼吸困難、背中の痛み、吐血などの症状が現れたときにはすでに周囲臓器へ浸潤、転移しており、根治手術が困難となっています。
治療は外科手術を最優先し、その治癒率は高いのですが、手術の難易度が高く、体への負担も大きい治療となります。
術後の5年生存率はステージ0期で70%。術後は放射線治療や抗がん剤治療を行いますが、ステージⅢ期の5年生存率が10~30%と低く、再発の可能性が少なくありません。

種類

食道の上皮は扁平上皮でできているので、食道がんの90%以上が「扁平上皮がん」になります。
また、 欧米では5割以上が「腺がん」であるといわれています。

症状

ステージ0期の早期食道がんは自覚症状がほとんどなく、食べ物を飲み込むときに少し違和感がある程度です。病状が進むと食べ物がのどにつかえる感じや、飲み込んだときに痛みが伴うことで摂食量が減少し、栄養障害を起こして体重が減り始めます。さらに進行すると、周囲臓器への浸潤、転移によって胸の痛み、吐血、下血、喀血などの自覚症状が現れることがあります。

原因

過度の喫煙と、特に高アルコール度の飲酒がリスク要因として挙げられています。 これら2つが合わせて作用し合うと、さらにリスクが高まります。

生存率

術後の5年生存率はステージ0期で70%、ステージⅠ期は50~60%、ステージⅡ期では30~50%、ステージⅢ期になると10~30%です。

再発・転移

食道がんは食道の壁が構造的に薄いこともあり、他臓器への浸潤、転移が発生後の早期に起こり易く、リンパ節や肺、肝臓などの臓器や骨へ転移して行きます。また、発見時のがんの進行度が高い場合は食道がん摘除手術後も、原発部位付近で再発することが比較的多くみられます。

治療

ステージ0期では外科手術は行わず、内視鏡を使って食道内部の粘膜内にあるがん組織を切除するのが一般的です。外科手術は主にステージⅠ~Ⅲ期で行い、がん組織とリンパ節を含む周囲の組織を切除します。昨今は胸腔内視鏡を用いる手術が広まりつつあります。ステージⅣ期になると積極的な手術は行わず、抗がん剤治療や放射線治療が中心となります。

当クリニックでは、食道がんの手術後の再発予防の患者さま、そして再発患者さまに対しては、主幹病院での抗がん剤治療と併用する形で、NY-ESO-1ペプチベータ、WT-1ペプチベータ等の最新のがん抗原を活用した樹状細胞ワクチン療法、更には活性化Tリンパ球療法、そしてNK細胞療法などを駆使して免疫治療を積極的に行っています。
また、特に手術適応でない食道がん患者さまに対しては、アフェレーシス(成分採血)によって採取し、独自の方法で培養された樹状細胞を直接、食道がんの局部へ注入する療法を積極的に行っています。この療法は、提携先の神戸ハーバーランド免疫療法クリニックにおいて幾人かの患者さまへ施行し、高い確率でがんの縮小、消失効果を得ています。